普段、現場でお客様の背骨の状態を確認していると、背骨に側方への弯曲が見られる方が結構おられます。
ご自身でも、「私、背骨が曲がってるって言われたことがあります」と言われる方もおられます。
背骨が側方に曲がっていると全て「側弯症」と言えるのでしょうか?
まずは「側弯症」と単なる背骨の「側屈」をわけないといけません。
ではその違いはなんでしょうか?
今日はその違いを判断するための一つのポイントをお伝えしたいと思います。
改めて側弯症とは?
側弯症とは、脊柱(背骨)が、ゆがみ(偏位)と捻じれ(回旋)を伴い弯曲した状態で、側弯度合いの角度を示すCobb(コブ)角が10°以上の状態を指します。
そしてこの側弯ですが、大きく分けて二つのタイプがあり「機能性側弯症」と「構築性側弯症」に分けられます。
さらに「構築性側弯症」の中には「特発性側弯症」と言って、
いわゆるまだ原因がわかりきっていないものがあります。
一般的に、「側弯症」とはこの「特発性側弯症」のことをさしていることが多いです。
この「特発性側弯症」の場合、典型的な側弯変形のパターンがありますが、
レントゲンによる画像診断などで、この典型的なパターンがみられたり、他の鑑別診断を経て「特発性側弯症」と診断されます。
特発性側弯症にみられる典型的な側弯変形
「特発性側弯症」において典型的な側弯変形としては、
まず胸部の背骨が右側に凸の状態になる場合が多いです。
さらにもうひとつ特徴的な状態が見られます。
それは背骨が全体的に真っすぐになる「背骨のフラット化」と
「背骨の回旋(ねじれ)の変形」が入ってくるというところにあります。
背骨・胸郭(肋骨)のねじれをみるテスト
この背骨の回旋の影響により、「Rib hump」という胸郭(肋骨)の変形も出てくるのですが、
このサインを見るテストを「アダムステスト」といいます。
地域にもよりますが、小学生高学年〜中学生の間に学校検診で行われることが多いようです。
上の画像では、「スコリオメーター」という道具を使い、回旋(ねじれ)の度合いも見ています。
背骨の動きの特徴を知りましょう!
ここで背骨が運動学的にどのように動くのかを知っていただきたいと思います。
背骨の中でも胸椎(肋骨がつく背骨。全部で12個あります)は、運動学上「胸椎が左に側屈(左に倒れる)という動きが起こる」と下の画像の様に「胸椎は同じく左側に回旋(ねじれ)する」という性質があります。
しかし「特発性側弯症」の場合、胸椎が左側に側屈(左に倒れる)しているにも関わらず、
下の画像の様に、通常とは反対側(この場合でいうと右側)にねじれが出てきます。
「側弯症」と「側屈」の違いとは?
この背骨の回旋(ねじれ)の状態が、「側弯症」か「側屈」かを見る上での一つのポイントになります。
つまり単純に背骨の「側屈」の場合、背骨の回旋(ねじれ)がほとんどないか、
あるいは左側に背骨の回旋(ねじれ)が見られます。
これは背骨の運動学上における通常の動きとなるので、
いわゆる「機能的側弯」のタイプの可能性があります。
ではどうしてこの様なことが起こるかというと、先ほどの「背骨の動きの特徴」でお伝えしたように、
背骨のフラット化が影響しています。
通常は背骨を横から見ると下の画像の様に生理的な弯曲と言ってS字のカーブがあります。
これが「側弯症」の場合、下の画像の様に背骨が全体的に真っすぐ(フラット化)が起こることによって、
背骨の運動学上の特徴でお伝えしたような、通常とは反対方向への回旋(ねじれ)が生じます。
「構築性側弯症」か「機能性側弯症」かを判断する場合は、
この様に背骨のフラット化があるか?
また背骨の回旋(ねじれ)の方向はどちらに向いているのか?
というのを判断していただくと「側弯症」か「側屈」かの判断材料になるかと思います。
「側弯症」の診断を行えるのは医師のみ
ただここで改めて注意しなければいけないのは、私はあくまでも運動指導をする立場として、
「確定診断」は出来ません。
あくまでも運動方法をお伝えする上で「見立て」をしているだけです。
なのでやはりまずは画像診断を含め、医療機関を受診されることが重要です。
本日は、「側弯症」と「側屈」の違いについてお伝えしました。
側弯症でお悩みの方に少しでもお役に立てると幸いです。
パーソナル(1対1)でのピラティスレッスンや、側弯症の方のトレーニング、その他のお問い合わせはこちらからお願い致します。
LINEからのお問い合わせがお手軽で便利です